化学は自然科学分野の1つであり、私たちの生活や産業に密接に関わっている重要な学問です。化学に興味をもっている方はもちろんのこと、進路に迷っている方や化学は苦手だと思っている方もぜひ、本学科のHPや各研究室のHPをご覧いただき、化学の魅力と可能性を感じていただけたらと思います。
ところで「化学」がどんなところで活躍しているかご存じでしょうか。プラスチック、ゴム、接着剤、洗剤、香水、医薬品、殺虫剤、燃料など、普段の生活で良く使っているものがパッと思いつくと思いますが、実は想像以上に様々なところで化学が使われています。例えば、普段、みなさんが使っているスマートフォンやタブレットを見てみると、指で操作すると動くタッチパネル(透明導電膜、液晶)、写真や動画の情報を記憶するメモリーや動きを感知する角速度センサー(強誘電体)、ライトに使われているLED、デバイスを駆動させるためのリチウムイオン電池など、デバイスの重要な機能を担っている素材が数多くあります。他にも、昔から使われているガラス、陶磁器、ステンドグラスなどのセラミックス、タマムシや貝殻などの見る角度によって色が変わる“構造色”(薄い層が何枚も重なってできた構造体)からヒントを得て開発された構造色インクジェット、環境に配慮した生分解性ポリマーや自動車等の排気ガス浄化触媒など、これら全てが化学製品なのです。このように、化学はいろいろな分野で応用・利用されており、あらゆる産業を支える基盤科学として大きな役割を果たしています。これだけ幅広い分野で活躍できる学問は化学だけだと思います。
東京都立大学理学部化学科・化学専攻は大きく3つの分野(無機・分析化学、有機・生物化学、物理化学)から成り、それぞれの分野でさらに3~4の専門分野(11研究室)に分かれています。有機化合物、高分子、固体材料、デバイス材料などの材料化学をはじめ、地球の環境問題を解決する環境化学、計算を使った理論化学、光・電子を使った分光化学、タンパク質や細胞を扱う生物化学など、これだけ幅広い分野の先端研究ができる学科は珍しいと思います。どうでしょう?皆さんの興味のある分野・研究が1つは見つかるのではないでしょうか。
次に化学科及び化学専攻での教育について簡単にご説明します。化学は自然現象を原子、分子レベルで理解し、物質の性質や変化などを探求する自然科学の1つですが、最近は異分野との複合化により対象となる物質が広範囲に広がっています。学部教育では、化学において重要な基礎知識を獲得するため、学部1年次から3年次では、無機化学、有機化学、物理化学、分析化学、生物化学などの基幹分野を学ぶための体系的な教育プログラムが整備されています。特に3年次では,専門実験や演習を通して各基幹分野の研究を行うための基本的な実験技術や知識の活用方法を時間をかけて習得します。4年次では、11研究室の中から興味のある研究室に実際に所属し、これまで学んだ知識を基に卒業研究を行います。理学部化学科にはバラエティに富んだ、魅力ある11の研究室がありますので、みなさんのやりたい化学が必ず見つかると思います。卒業研究を通して化学を楽しんでください。さらに深い専門知識を獲得されたい方は、ぜひ大学院(化学専攻)に進学してください。化学専攻には各分野において世界で活躍されている先生方が集まっています。先端研究を推進し、世界をリードする研究者を目指してください。また、東京都立大学はグローバル人材育成にも力を入れており、海外留学支援制度が充実しています。こうした制度を上手く利用すれば、海外の一流研究に触れることもできますので、ぜひ積極的に活用して下さい。